2015.04.23今月のメディカサイト特集

『自宅で安心して生活していただくために』~在宅医療専門診療所 たんぽぽクリニック~

医療法人 ゆうの森
理事長
永井 康徳 医師

平成18年4月に、在宅療養支援診療所制度が診療報酬に組み込まれ、国をあげて、在宅医療への取り組みが推進されております。
しかしながら、24時間365日、安心して在宅での生活をサポートしてくれる医療機関は、まだまだ少ないのが現状です。
愛媛県松山市には、在宅療養支援診療所制度がスタートする5年半も前から、在宅医療専門に取り組んでおられる医療機関があります。
今回は、在宅医療専門の診療所を運営されている、医療法人ゆうの森さんを訪問させていただきました。

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医療法人 ゆうの森 について
『医療法人ゆうの森』は、訪問診療を専門に行う『たんぽぽクリニック』を中心に、
『訪問看護ステーションコスモス』
『居宅介護支援事業所コスモス』
『訪問介護事業所コスモス』
『はりきゅうマッサージ治療院クローバ』
を併設する在宅医療専門の医療法人です。
http://www.tampopo-clinic.com/
平成12年10月、在宅医療専門のたんぽぽクリニックを開設。
平成14年5月、医療法人ゆうの森となる。
平成18年4月、在宅療養診療所の届出を行う。
在宅患者数は約350名。
『在宅専門であること』
『24時間対応が可能であること』
『松山市全域の患者すべてに対応すること』
『患者を選ばないこと』
が、ポイントとなっています。

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AM 8:30~
朝のミーティングがスタート
『おはようございます!』
『お世話になります!』
『ありがとうございます!』
『今日もよろしくお願いします!』
この4つの挨拶から、朝のミーティングが始まります。
医療スタッフ、介護スタッフ、事務スタッフ等、全スタッフが参加し、厳しくも和やかな雰囲気で進んでいきます。
真剣さと笑顔が共存するのが、ゆうの森のミーティングです。
まず、日替わりのスピーチを行い、スタッフ一人一人の考え方や感じ方、出来事などを共感します。
その後、本日の予定を確認し、具体的な問題点などを共有します。
ご家族からのコメントなども紹介し、全員で認知します。

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AM 8:50~
医療部門、介護部門に分かれて、ミーティングがスタート
全体ミーティングが終わると、速やかに移動し、医療部門、介護部門と分れて、ミーティングがスタートします。
ゆうの森では、電子カルテを導入しています。
モニタに写る、患者さんの 『同じ』 情報を見ながら、情報の確認、交換を丁寧に行っていきます。
一人一人について申し送りを行い、活発に意見が飛び交います。
週に1回は、患者さんのお薬を調剤する、薬局の薬剤師も交えて意見交換を行います。

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訪問診療がスタート
医師と看護スタッフがペアとなり、患者さんのご自宅を訪問します。
1日に平均8人の患者さんを訪問しています。
『患者さんが主役で、私たちは黒子です。
ご自宅で、何事もなく、生活できるようにサポートするのが仕事です。
様態が悪化したときなど、往診で行くことが多くてはいけません。
そうならないように、定期的な訪問診療はもちろん、体調が気になるときには、あらかじめ出かけて診察をし、お声かけをすることで安心していただけます。』と言われる永井医師。
必要な時に、必要なだけ医療を行える体制作りを行っています。

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ご自宅での診療
この日は、ご夫婦そろっての診察です。
世間話を交えながら、じっくりと診察を行います。
食事について、買い物(外出)について、体調について。
ご夫婦ともに、健康チェックを行い、お話を聞いていきます。
奥様からは、肌の痒みについて相談され、アドバイスを行います。
ご主人からは、お薬についても、今、飲んでいる薬について相談があり、飲み方を確認しました。
診察には、ゆっくりと時間をかけ、和やかな雰囲気で行われます。
『24時間、いつでも、必要なときには来てもらえるから安心です!』と話される、ご夫婦。
定期的に診察に来てくれるからこそ、何かあったときにはすぐにかけつけてくれるからこそ、ご夫婦と築かれた、安心感と信頼感です。
記録をしっかりと行い、スタッフ全員にフィードバックされていきます。

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在宅医療は長続きしなければ意味がない!
私は、愛媛大学医学部在学中に、サークル活動を通して、僻地医療に関心を持ちました。
『地域の中で人間の”生老病死”をまるごと診たい』
そのような思いから、愛媛県明浜町俵津地区の診療所に赴任をしました。
個人としての『自分』を必要としてもらえるか?
自分の力を地域のために生かせるのか?
子どもからお年寄りまで、その人を、その背景を、その地域をまるごと診たい。
理想ですが、そのすべてを個人が犠牲になって診るのでは長続きしません。
長続きしなければ、地域医療は意味がないと考えています。
地域医療を充実させるには、患者の療養生活を24時間支える医療機関が不可欠です。
『外来をしていないときでなければ行けません。』
『夜は行けません。』
『週末は行けません。』
では、安心して在宅で生活を送ることは難しいですよね。
在宅での医療を24時間対応するということは、
不安をなくすということです。
そのためには、外来をしていたら対応ができないと考えました。
医師都合ではなく、患者都合でなければ、
在宅で医療を受けることはできません。
そうした思いから生まれたのが、在宅医療専門の診療所『たんぽぽクリニック』です。
最初は、医師1人、看護師2人でスタートしました。
『どんな患者さんでも、24時間365日、いつでも対応します!』
ということで、徐々に紹介患者が増えていきました。
50人ぐらいまでであれば、このチームで対応可能でしたが、それでは長続きさせることは難しいです。
在宅医療は長続きする医療でなければ意味がありません。
そこで、継続していくためには、規模を大きくし、スタッフを充実させていかなければなりません。
しかし、そのために質を落としてはいけません。
それには医師一人の力では限界があります。
これからの医療は、患者のニーズにどれだけ応えていけるかが大切です。
24時間365日対応するためには、必要なときに必要なだけ訪問できる体制作りをしなければなりません。
医師の複数勤務体制を作り、患者さんの情報を共有化し、誰でも診ることができるシステムが必要なのです。
ゆうの森では、電子カルテの導入により、どこにいてもパソコンさえあればすぐに対応が可能で、ミーティングでの情報交換をまめに行っています。
現在は、医師5人体制(もうすぐ6人体制)で、350人の患者さんに対応しています。
今後は、より迅速でキメ細かな対応を行うために、サテライトも視野に入れている。

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これから在宅医療に取り組まれる方へ
日本では50年前までは、約80%の人が自宅で亡くなっていました。
現在では全く逆になり、医療機関でなくなる人の割合が約80%になっています。
私は、この比率を、昔のようにしたいと思っています。
2006年4月より、在宅療養支援診療所制度がスタートしました。
国をあげて、在宅医療を推進する体制作りが行われています。
現在、全国で1万件、愛媛県で148件を超える診療所が、在宅療養支援診療所の届出をしています。
しかしながら、実際に24時間対応による条件を満たして、保険請求できている診療所は少ないのが現状です。
在宅医療を行うには、外来の合間に訪問するのではなく、思い切って在宅専門で時間を割くことが大切だと思います。
もしくは、在宅専門でなくても、例えば午後は在宅にあてるなど、毎日訪問できる体制をとることが必要だと思います。
在宅専門で行えない場合は、24時間診ることができるように、診療所同士でグループ化をしたり、病院と連携をとったりすることも大切です。
また、在宅で大事なことは、できることをすべてするのではなく、すべきことを選んでやっていくことです。
できるけれども、あえてしないことが在宅医療の美学でもあります。
必要なときに必要なだけ訪問する体制作りを行うことが大切です。
また、過度の医療行為が、患者さんや家族の幸福や満足に必ずしもつながるわけではありません。
さまざまな医療行為を選択枝として提示しますが、決して強要はしません。
患者さんや家族が納得して選び取った方法を、全身全霊をかけて支援する。
それが、在宅医療なのです。
そのためには、
『24時間いつでも訪問します』
『いつでも連絡してください』
という姿勢を、在宅を行う医師が患者さんに伝えなければなりません。
自宅に帰ることを希望する患者さんに安心していただけることで、はじめて、信頼できる24時間の診療体制をつくっていくことが可能となります。
在宅医療は、患者さんの気持ちや家庭の事情を好意的に判断し、理解する気持ちがないとできません。
そうでないと、結局、不幸になってしまうのは患者さんです。
そのため、在宅医療をやりたい!在宅医療は楽しい!
と思っている人にやってほしいと思います。
それが、患者さんの幸せにつながるのです。
私は、患者さんの前では、一人の謙虚な医師でありたいと思っています。
在宅医療では、患者さんが主役で、医師や在宅スタッフは、患者さんの生活を影で支える黒子役です。
私たちは、患者さんが最期まで、その人らしく生きるためのお手伝いをさせていただいているにすぎません。
本来、医療とはそうあるべきではないでしょうか。
私たち、在宅医療専門診療所『たんぽぽクリニック』では、他の医療機関が診ることが難しい患者さんの診療を行っています。
私たちが患者さんの受け入れを断ったら、ほかに診てくれるところはない、私たちが最後の砦である!ということを、常に意識しています。
そのためには、在宅医療に関する技術と知識を身につけていることが求められます。
訪問さえしていればいいという意識ではダメなのです。
スタッフには、在宅医療に取り組みたい!在宅医療が楽しい!と思っていただけるように、研修を重ねています。
医師も、訪問看護も、訪問ヘルパーも、誰もが大切なスタッフです。
互いに敬意を持ち、力をあわせて、専門性を発揮していくことが大切です。
医師がピラミッドの頂点に立ってはいけません。
同じチームの一員として、各スタッフを尊重して、連携することで、よりよい在宅医療が提供できると考えています。
一人でも多くの方に、在宅で安心して生活をしていただけるよう、これからも、しっかりと在宅医療に取り組んでいきたいと思います。
皆さん、いつでも、お気軽にご相談いただければと思います。

 

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医療法人 ゆうの森
http://www.tampopo-clinic.com/
〒791-8056
愛媛県松山市別府町444-1
TEL 089-911-6333 FAX 089-911-6334

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