2017.06.06今月のメディカサイト特集
専門医師がいる認知症カフェ「すまいるカフェ 遊ぐん」OPEN!
認知症の人やその家族、各専門家や地域住民が集う場所として、広まっている「認知症カフェ」。
4月に特養 和光苑ゆうぐん内にオープンしたカフェは、そんな認知症カフェのなかでも”専門医師がいる”ことを特徴としたカフェです。
公募していた名称が、「すまいるカフェ 遊ぐん」に決まり、本格的にスタートしました。
なぜ発足したのか?
メンバーは?
そんな質問をぶつけつつ、カフェの雰囲気を突撃取材してきました。
ボランティアグループ寄す処(よすが) |
谷向 知さん(愛媛大大学院医学系研究科 教授) 山本 秀俊さん(特別養護老人ホーム和光苑ゆうぐん 施設長) 川中 康子さん(松山東雲短期大学)、落合 美穂さん(介護福祉士)、大惠 郁子さん(看護師) 野本 美佳さん(看護師)、濱田 良子さん(看護師) |
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今からおよそ10年前、友人に「親が認知症になったから相談に行きたいのだけれど、どこに行けばいい?」と尋ねられ、恥ずかしながら即答ができませんでした。 その時から、家族が認知症になったとき気軽に相談に行ける場所をつくりたいと、強く思っていました。 「認知症カフェをつくるなら専門職の人が常駐して、聞きたいことをすぐに聞ける場所にしたい。」そう思い、東雲短期大学の川中先生に相談したところ、谷向先生をご紹介していただき、今年の2月、3人で会うことに。 谷向先生にすぐに賛同していただき「ではいつから始めますか?」と聞かれ、2ヶ月後にスタートすることになりました。 谷向先生と一緒に運営していくうちに、認知症カフェの本当の意味を考えるようになりました。 認知症カフェはここだけで完結してはいけない。 認知症の人たちも含めた地域住民全員が安心して過ごせる地域を、近所の人たちと一緒に作っていくことが大切なことなのだと感じています。 7人の頼もしいボランティアスタッフを中心に、専門職の方、地域の方にも協力をお願いしながら、発展し続けていきたいです。 |
認知症カフェは、平成27年の「認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)」の中にも登場しています。 認知症カフェは大切な場所だとは思いますが、お年寄りのために町をつくるという考えではなく、老若男女市民全体にとって住みよい町をつくっていくための場所であって欲しいという気持ちがあります。 例えば、徘徊と迷子ってどう違うのでしょう。高齢者と子供、年齢が違うだけで、「人に道を聞けない」という根本の部分は一緒です。 道を教えてくれる人が周りにいれば、解決します。 ここには、民生委員さん、婦人会の方、地域の方、いろんな立場の方がボランティアで関わっています。 地域の方が自然に関わりながら続いていくことが大切なのです。 高齢者も市民の一人。 いざ自分が年をとって、認知症が始まったとしても、住みよい町であるように。 自分にとって住みやすい町づくりを一緒にしていく感覚で利用してもらいたいと思っています。 |
認知症の母を介護した経験があります。 いざ、家族が認知症になった時、専門職にもかかわらず、どうすればよいか分かりませんでした。 ここは、認知症の方、家族の方、地域の方が気軽に集える場所。 あまり小難しく考えず、遊びに来てもらえたらと思っています。 私は保健師ですが、ものづくりが好きなので、簡単にできるワークショップを毎回企画しています。 材料は100円均一で手に入るものや、身近にあるものばかりなので、ここで体験して、自宅でもつくっていただくことができます。 ものづくりは、コミュニケーションになりますし、完成した時の達成感を味わうこともでき、それが自信へとつながります。 開催時間中はいつでも参加できますので、お気軽に遊びに来てくださいね。 |
オープン前、寄す処のメンバーでワークショップの練習をしました。 今日は、糸と針を使わずできる印鑑ケースを作ります。 |
こんな感じで布を切って、ボンドで貼るだけ! 簡単です。 |
谷向先生も、可愛らしい印鑑ケースを作っていました! |
さて、カフェオープンです。 いろんな方が相談に来られます。 |
初歩的なことでも何でもご質問ください。 |
相談中は、お茶をお出しします! |
こちらの可愛らしいプレートは、川中先生手作りです。 |
おやつ作りは、婦人会の皆様! テキパキ動かれていて素敵です。 |
川中先生のワークショップも大人気! |
こんなに可愛い印鑑ケースができました。 |
スタッフの皆さんは、本当によく動く、動く・・・! おかげでとても良い雰囲気のカフェ時間になりました。 |
16年前、妻がくも膜下出血で倒れ、後遺症が残り、現在要介護1です。 認知症も少しあり、私は会社員をやめて妻の介護をすることにしました。 以前、認知症カフェに参加したことがあり、楽しかったので「また行ってみたいな」と思ていたところ、TVでこちらの存在を知って遊びに来ました。 楽しいですね。 毎日でも来たいぐらいです。家の中にこもっていると、認知症の方もその家族も、精神的によくないです。 なので、私たちはお寺参りに行ったり、こういう場所に来たりして刺激をもらいます。 私たちは、「近隣介護の会」というグループを立ち上げて、毎月ランチをしながらいろんなことを話しています。 集まれる場所はとても大切。また来月も伺います! (Nさん夫妻) |
開店直前にお伺いさせていただきましたが、運営メンバーの穏やかな雰囲気に気持ちが和みました。メンバーお一人お一人が、想いを持って、自分たち自身も楽しめる場所をつくるつもりで取り組んでいらっしゃるのだなと感じました。
関わってくださっている婦人会の方も、民生委員さんもみんな、「住み良い地域をつくりたい」という想いがある方。
お客様もみなさん、笑顔で楽しまれている様子でした。
谷向先生がおっしゃっていたように、「認知症カフェ」は高齢者だけではなく、すべての人にもっと利用していただける場所として定着したらいいなと思います。
子育て世代が介護をする「Wケア」の問題も聞きました。
若い人たちも、気軽に訪ねて来れるような場所になっていって欲しいです。
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